SPECIAL INTERVIEWスペシャルインタビュー

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藤井拓郎スペシャルインタビュー

君の未来は
ここからはじまる

オリンピックで2大会連続メダルを獲得するなど、日本の競泳界をリ
ードしてきたコナミスポーツ水泳競技部コーチの藤井拓郎。
海外の競泳事情にも精通し現役時代から「競泳博士」と呼ばれる彼
にコナミオープンの魅力や、水泳と向き合う姿勢について聞いた。
未来へ羽ばたくスイマーたち必見!

藤井拓郎TAKURO FUJII

1985年生まれ。大阪府河内長野市出身。3歳から水泳を始め、中学校まで菊水スイミングスクールに所属。2008年にコナミスポーツクラブに入社。オリンピックに日本代表として3大会連続出場し、北京大会では男子400mメドレーリレーで銅、ロンドン大会では男子400mメドレーリレーで銀メダルをそれぞれ獲得。現在、コナミスポーツ水泳競技部コーチ。

「コナミオープン」は、幅広い年代の選手が集う国内屈指の水泳競技大会

──まずは「コナミオープン」について、出場するスイマーたちにとってどのような大会なのかを教えてください。

小学生から日本代表クラスのトップスイマーが同じ会場で競技を行う、国内有数の水泳競技大会です。大会の捉え方は選手によってさまざまですが、年末年始に合宿をする選手が多いので、その成果を試すという意味合いで、年明け最初の長水路大会としてレースに臨む選手も多くいます

──今年も、女子では池江璃花子選手や今井月選手、男子では瀬戸大也選手や萩野公介選手など、日本のトップスイマーたちが多数参加します。ジュニアスイマーたちにとって、そういう選手たちと同じ会場でレースが行えるのは非常にいい機会ですよね。

トップスイマーの泳ぎやレース前の準備などを間近で観られることは、非常に勉強になると思いますね。子供たちは結構積極的で、『サインください!』と言って、ジャージやTシャツにサインを書いてもらっている光景をよく目にします。日本のトップスイマーたちは、大会期間中はサインなどにも快く応じています。人気の選手だと、レース後すぐに行列ができているくらいなんです(笑)。選手たちと近い距離感で接することができることも、コナミオープンのもう一つの魅力と言えると思いますよ
※本大会は欠場いたします。

──世界的に見ると、このようにさまざまな年代が一度に集まる大会は多いですか?

例えばアメリカでは、小さな大会でもトップスイマーが参加することが多いので、年齢区分に合わせてそれぞれの年代が出場できる大会がごく当たり前のようにあります。一つの大会で年代を細分化した形で選手が競えることのメリットは、年代別にターゲットを絞った形で強化ができる点にあると思います。そのような大会は日本では少ないので、そういう意味でコナミオープンは、国内では数少ない世界基準に基づいた競技大会とも言うことができると思います

現役時代は重圧との戦い指導者としては選手が積極的にトライできる場に

──藤井さんは、コナミオープンには大学4年の時から出場していますが、思い出に残っていることはありますか?

コナミスポーツクラブに入社してからは招待選手として出場することが多かったので、常に『最低限の結果は残さないといけない』というプレッシャーを背負いながら泳いでいましたね。そんな中、僕はコナミスポーツクラブのイベントによく参加していたので、そのイベントに参加していた子供たちから『頑張ってください!』とか『あの時はありがとうございました』と声を掛けてもらったことがすごく嬉しくて、励みになっていたことはよく覚えていますね

──現在は指導者として、この「コナミオープン」をどのように見ていますか?

やはり自分が担当している選手がどのように戦うかということになるんですが、コナミオープンは時期的にも思い切ったチャレンジができる大会なんです。例えば、『今回は前半で突っ込んでみよう』とか『前半は抑えて後半で勝負してみよう』とか。もし結果が出れば継続していくし、ダメならまた元に戻せばいい。色々なトライができる分、選手それぞれの新しい一面が見られる可能性が高いので、そういう視点でもこの大会を観ています。

「理想のスイマー像」をどこまで明確に持てるかが成長を続けていくカギ

──藤井さんご自身は現役時代、レースに対するモチベーションを高めるためにどのようなことをしていましたか?

とにかく目標を明確に持つことに尽きると思います。そこがチグハグだと練習に身が入らず、中途半端に終わってしまいます。ただし、簡単すぎてもよくないし、難しすぎても途中で心が折れてしまう。目標そのものの立て方にもセンスが必要です

──目標を立てるセンスはどのようにして養っていけば良いのでしょうか? そして日々の練習にどのように向き合うことが大事だと思いますか?

本質としては『こういう泳ぎがしたい』という理想像を掲げて、それを突き詰めていくことです。具体的には、大学生以上の選手であれば、自分ときちんと向き合って、限界を超えたところで達成できるような目標にすること。中高生のジュニアスイマーの段階では、自分のことを一番客観視できるのは、やはりコーチだと思うので、密にコミュニケーションをとる中で目標を設定するのがいいと思います。もちろん、目標は一つでないとダメと決まっている訳ではありません。最終的な大きな目標をクリアするプロセスの中に、小さな目標、中くらいの目標を設定し、階段を上っていくような感覚でクリアしていくと、楽しみながら成長していけると思います。そして立てた目標は1日たりとも忘れないことです。僕は『目標がその日その日を支配する』という言葉を座右の銘にしているんですが、常に頭の中に目標をインプットしていくことで、日々の練習への取り組み方が変わり、トレーニングの質は確実に上がっていくと思います

泳ぎに必要な能力を見極め伸ばしていくことが「理想の泳ぎ」への近道

──ジュニアスイマーの年代では、水泳に対してどのように向き合っていくことがベストだとお考えですか?

得意な種目と苦手な種目があると思うのですが、そこにはとらわれずにいろんな可能性を信じて練習してほしいと思います。僕も実はもともとバタフライが苦手で、高校や大学の大会には出たことがなかったんです。でも結果的にはバタフライでオリンピックに出場することができました。レアなケースではあるのですが(笑)。水泳を続ける中で体つきも変わってきますし、泳ぎの知識も蓄積されていく中で、一番苦手だと思っていた種目が実はもっとも適していたということもあるので、いろんな種目にトライしてほしいと思います。そしてもう一つは、『考えながら泳ぐ』ことです。一つ一つの種目に対してどんな能力が必要か、その優先順位を見極めて練習に取り組むことが大事です。身体が成長段階にあるうちは、力任せに泳いでいてもタイムは伸びるのですが、それ以降は頭打ちになるのは目に見えています。考えながら泳ぐことは『理想の泳ぎ』への近道にもなりますし、その思考さえしっかりと身に付けることができれば、水泳でなくても社会人として立派に成長していけると思いますよ

せっかくの機会なので、自分から積極的にトップ選手と触れ合おう

──「コナミオープン」から未来へ羽ばたいていくジュニアスイマーたちに、最後にメッセージをお願いします!

コナミオープンは、日本のトップスイマーと触れ合える非常にいい機会です。サインをもらったり、知りたいことを質問したり、せっかくなので選手たちに声を掛けてみてください。トップスイマーもその時に掛けてもらった言葉が心に残って辛い時も頑張れたりするので、積極的に触れ合ってほしいと思います。レースでは勝ち負けも大事ですが、自己ベストをクリアしていくことが何より大事だと思います。ジュニアスイマーはまずは自分磨き。そうやって限界を突破していける強い心を養うことができれば、自然と強い選手に成長していけると思います。頑張ってください!